強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「ちょっと待ってよ。何も話は終わってないんだけど」
ベランダの影からそっと顔を出す悠。それにならって、私もそっと玄関の方を覗いてみる。
するとそこには篤志さんと、髪が短くすらりとした体型の女性がいた。
篤志さんのことが好きなわけじゃないけど、この状況はかなりドキドキする。
「すべてが収まるまで、待っていてくれと言っているだろ」
「すべてって、どうなるまで待てって言うの? 他の女と結婚するのはかまわない。どうせ私みたいなホステスは、あなたの家族に認めてもらえやしないでしょう。でも、あのことだけはちゃんとしてもらわなきゃ困るのよ」
あーあ。これは、確実に今カノじゃん。しかも、商売やってる女の人。
私と違って活動的で、篤志さんのことが本気で好きなんだということが伝わってくる。
あの人のどこらへんが好きなのかは、ちょっと理解できないけど……。
「だから、認知はするって言ってるだろ」
「それっていつなのよ。半年後には、この子は産まれちゃうのよ?」