強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
言い訳がましくなく、はっきりときっぱりと、篤志さんは言い切った。
実家とのつながり……。
やっぱりね。そうだと思ってた。わかってたよ。
そう思いながら、さっきの食事をしながらの熱烈プロポーズは何だったんだと思う自分がいた。
怒りはない。ただただ、脱力した。
ああ、やっぱりね。私の実家には魅力が満載だけど、私自身には何の魅力もないものね。
「ねえ、帰ろう。もうじゅうぶん、撮れたで……しょ?」
隣にいる悠の方を見た瞬間、びゅんと風が通り抜けたような気がした。
あっと思った時には、もう遅かった。
悠は篤志さんの前に駆けだしていた。
「ちょっと!」
いったいどうしたの?
思わず影から飛び出し、声を上げた。
それより先に、篤志さんが足音に気づき、こちらを向いて目を丸くしていた。
そんな彼の元に風のような速さで近づいた悠は、ぐいっと篤志さんの胸ぐらをつかむ。
「お前っ……」
驚いたの篤志さんが、顔を歪める。