強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「あんただれっ? 警察呼ぶわよ!」
女の人が顔面蒼白で叫ぶ。
「俺が警察だよっ!」
悠はそう怒鳴ると、篤志さんをにらみつける。
「悠、やめて」
駆け寄って悠の腕を篤志さんから離させようとする。
腕に抱きつくようにして力をこめるけど、びくともしない。
「あんた最低だよ。何が認知だよ。何が彼女の実家とのつながりがほしいだけ、だ」
低くなったその声は、まるで獣が喉を鳴らす音のよう。
眉間にシワがより、目が吊りあがっている。
ぎらりと篤志さんをにらみつける悠が怒っているということは、誰が見ても明らかだった。
「あんたと結婚したって、霧子は幸せになれない。さっさと責任取って、この人と結婚しろよ」
悠はあごで、青い顔で見ている女の人を指す。
「お前に指図される覚えはない。その手を離せ」
篤志さんは頬を引きつらせながら言い返す。