強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】


「あー……朝の打ち合わせを始めます」


その声で、全員が静かになった。

ああ、失敗しちゃった。

奥田先生は四十近いのにまだ結婚していない。

どうやら、したい気持ちはあるけど、なかなか縁がないみたいで……この学校に赴任してから今まで、結婚して産休に入る先生たちが一様に八つ当たりをされているのを見て、私は気をつけなきゃと思っていたのに。

先生、結婚ってそんなに楽しいものじゃなさそうですよ。まず恋をすることを楽しんだ方がいいと思います。

そんなことを口に出したらまた怒られそうなので、心の中で呟くにとどめた。




一限目は一年生の授業。

「はい、じゃあこの前の続きね。この時間で完成できるようにがんばって」


まだ中学校に入学したての一年生が、真新しいポスターカラーで、自作の時間割表を作る。

それは教科をマーク科したものでできていて、物事を図表化すること、ポスターカラーの使い方を学ぶ目的がある。


「先生、無理だよー。俺、何にも浮かばねえよお。国語なんてどうやってマークにしたらいいんだよ」


ある男子生徒が愚痴をこぼしながら頭を抱える。

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