強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「大丈夫か?」
手を差し伸べてくれる新城さんの後ろから、パトカーの赤い光とけたたましいサイレン音が迫ってくる。
きっと、倒れたテロリストたちを回収しにきたんだろう。
「どうしよう……私のせいで……」
新城さんの手を借りる気にもなれず、地面にぺたりと座り込んだまま、悠を乗せた車が行った方向を見ていた。
「私のせいで、悠が警察を辞めさせられちゃったりしたら、どうしよう」
声に出してしまったあとで急に悲しくなって、涙が溢れそうになった。
「大丈夫だ。あんたのせいじゃない」
新城さんが、無理やりに私の腕をつかみ、立たせる。
「何があったのか、ゆっくり聞かせてくれ。この状況を見る限り、大西が一方的に悪かったってことはないだろう。そう俺たちは信じている」
新城さんはそう言い、まだ呆然と立ち尽くしている篤志さんと今カノさんに、軽蔑するような視線を送る。
「先に行け。俺はこのテロリストたちを引き渡したら合流するから」
「ああ、頼んだ」
矢作さんを残し、新城さんは私を支えながら車に案内する。
後部座席に座った途端、体中から力が抜ける。
心のどこかの栓が抜けてしまったようで、ぼたぼたと涙が溢れた。
短い間だったけど、ずっと一緒にいてくれた悠がいない。
たったそれだけで、恐ろしいほどの寒さと孤独を感じた。