強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
逃避行しましょう
翌日。
結局あのあと、ホテルに戻った私は、新城さんに警護されていた。
部屋の前には矢作さん、ホテルの周りは高浜さんが見張っている。
「はい、新城です。ああ……そうですか」
昼頃、新城さんのスマホが鳴った。
見る見るうちに曇っていく新城さんの王子顔を見ていると、嫌な予感しかしない。
やがて通話を終えた新城さんが、片手でスマホを持ったまま言った。
「昨夜の件について、事情聴取が終わったらしい。しばらくは謹慎だと」
「そんな」
「仕方ないな。いくらむこうが悪いことをしていたと言っても、大西自身に危害を加えようとしたわけじゃない。市民を殴っちまったんだ。謹慎くらいで済んだらラッキーな方だろ」
昨日の話を聞いてくれた新城さんは、冷静な表情でそう分析した。
そうだよね。いくら篤志さんが最低な人間だとしても、あの場では私の悪口を言っただけで、誰かに暴力を振るっていたわけじゃないものね。