強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「何だっていいのよ。国語なら……本とか漢字とかあるでしょ。なんなら『国語』って言う字を元にしてマークにしちゃえばいいの」
「普通に『国語』って書いちゃだめ?」
「それじゃ普通の時間割になっちゃうでしょ」
生徒の肩をぽんと叩き、他のテーブルに向かう。
中には思わず吹き出しそうになってしまう作品もあるけど、みんな真面目に取り組んでくれているのがわかる。
これに点数をつけて成績をつけなきゃならないのは、なんとも忍びない。
でもそれが教師という仕事だものね。心を鬼にしてやらなきゃ。
うんうん唸っていた生徒がなんとか作品を完成させたとき、ちょうどチャイムが鳴った。
次の時間は、別の美術の先生が授業を行う。
私は職員室に戻り、今できたばかりの作品に目を通していた。
あ、この子はすごい。マークも誰が見てもわかるものだし、色塗りも綺麗。
ああ、この子は……マークはよくできているけど、ポスターカラーが水彩みたいになっちゃってる。申し訳ないけど、ちょっと減点かな。
他に数名の職員しか残っていない静かな部屋で、黙々と添削をしていると……。