強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
とにかく父に連絡を取ろうと、スマホを取りだす。
「どこへ連絡するんだ」
いつの間にかすっかりタメ口になっている新城さんが聞いてくる。
「父に話があります」
「今日は国会があるはず。今かけても総理は出られない」
はっとして時計を見ると午後一時を少し回ったところだった。
ちょうど本会議が始まったばかりの時間じゃない。脱力して、スマホを落としそうになる。
も~!
テロリストに狙われるし、仕事には行けないし、婚約者には身重の今カノさんがいるし、担当SPは謹慎中。
あまりゆっくり話したことのない父に、初めて自分の方から連絡をとってみようと思ったら、絶賛国会中。
運が悪いときって、とことん悪いんだ……。
がっくりとうなだれると、胸元の母のネックレスの光が視界に入った。