強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「桜さんは大丈夫なのかな」
私を警護の場所から連れ出して、どこかに隠したと思われるのは桜さんだ。
SPたちは、まず桜さんの居場所を探ろうとするだろう。
「大丈夫。あいつは普通の女の子より、だいぶたくましいから」
具体的に桜さんがどうなるのかは教えてくれないけど、きっと迷惑をかけることになるだろう。
それなのに悠は落ち着いた顔をしている。
「もう、だいぶ前からこうなるような気がしてたから」
「えっ?」
「最初に会った時から、きっと俺は霧子を連れて逃げることになるんだろうなって思ってた」
そうなの? どうして?
きょとんとする私に、悠はそっと顔を近づけ、耳打ちをする。
「実は、一目惚れだったから」
耳元で響いた言葉に、一気に体中の血が沸騰するような気がした。
「霧子がどう見ても幸せじゃなさそうだから、ホントどうしようと思ってた。俺、いつまで我慢できるのかなって。だから、近いうちにこうなる気がするって桜とは話をしていたから」