強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「そうなの?」
「今回のことで、その話がどうなっちゃうかはわからないけどさ……きっと大丈夫。桜の選んだ男なら、きっと彼女を支えてくれる」
たしかに。桜さんは苦労しているから、変なチャラ男とかに捕まるイメージがない。
きっと、悠に似た、優しくて強い素敵な人を選んだんだろう。
そんな話をしているうち、電車は終点へ。
私たちは手をつないだまま駅から歩き、適当な道路で並んで親指を突き出した。
私も桜さんくらい、悠を信じたい。そして、信じられるようになりたい。
今後の生活がどうなっちゃうんだろうとか、まったく考えないわけじゃない。不安はいっぱいある。
だけど、この手を離してしまったら、私は一生後悔する。そんな気がするの。
私はぎゅっと、悠に握られた手に力を込める。
その瞬間、あるトラックが速度をゆるめ、私たちを少し追い越したところで停車してくれた。