強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「どうした、若いの」
緑の車体に、銀色の荷台を乗せた大きなトラックには、運送会社の名前が書かれていた。
運転席の窓を開けて、こちらに身を乗り出したおじさんは、薄い色のサングラスをかけている。
「俺たち、駆け落ちするんです。お願いです、東北方面ならどこまででもいいので、乗せてください」
まるで怯えるウサギのような目で、お願いする悠。
「なにぃ、駆け落ちだあ?」
おじさんのサングラスが鋭く光る。
「今時珍しいほどロマンチックじゃねえか。よし、乗りな」
日焼けした丸い顔のおじさんは、そんなことを言い、私たちを荷台に乗せてくれた。
「夜に一回、高速から降りる予定だから。そこまででいいか」
「はい、助かります。おじさん、ありがとう」
目をキラキラさせてお礼を言う悠。
荷台の扉が閉められた途端、周囲は暗い闇になる。
すると背負っていたリュックから懐中電灯を出した悠が、ニッと笑った。