強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「おーい、若いの。着いたぞー」
まぶたに明るい光が透過してきて、ハッとする。
どうやら、いつの間にか眠ってしまったみたい。
膝枕をしていたはずの悠は、隣で寝ていたらしく、がばりと起き上がった。
荷台から出てみると、目の前にはコンビニが。
周りにも何台かトラックが停まっていて、すぐ近くにインターの出口を知らせる看板が見えた。
「俺はここから会社に戻るからよ。色々大変だろうけど、頑張れよ」
「ありがとうございました」
お礼を言うと、おじさんは手を振ってコンビニへと消えていった。
「私たちもコンビニ行く? お腹空いたよね」
硬い床で寝たせいか、痛くなった全身を伸ばしながら聞くと、悠は首を横に振った。
「今はいいや。とにかく、今日の寝床を確保しよう」
「寝床かあ」
コンビニは光が煌々とついているけど、少し離れれば真っ暗だ。
腕時計を見ると、夜八時を指していた。