強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】


「よし、行こう」


固まっていた私の手を引き、その花火の方向に歩き出す悠。


「ま、待て待てー!」


まだ回答してないって。

もしかしなくても、あのチープな電飾はラブホに間違いない。


「やだなあ、霧子。普通のホテルみたいに名前や住所を明かさなくても泊まれるから行くんだよ。それ以外に理由なんてない」


そうか。ラブホなら、ビジネスホテルみたいに名前や住所を提示しなくても泊まれるものね。従業員に顔を見られることもない。

それに……も、もしそうなってしまったとしても、私たちはお互いに好きなんだし、大人だし、別にやましいことなんてないじゃない。

ただ、前に彼氏がいたのはかなり昔のことで、ちょっと緊張はするけど……。

私は緊張と動揺を隠し、ホテルまでの道を歩いた。


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