強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
隣で、そっと目を閉じて手を合わせる。
お母さん、おばあちゃん、ただいま。
二人とも、きっと不思議に思ってるよね。
私はお金持ちの人と結婚して、安定した人生を送っていこうと思ってた。
なのに、結局お母さんと同じように、愛情をとって平穏な生活を捨ててしまった。
でも、後悔はしていない。
悠と逃げてから、私はやっと本当の私になれた気がするの。
やっと、お母さんがお父さんだけを愛して一生を終えた気持ちが、わかる気がする。
私も、これからどうなるかはわからないけど、精一杯愛する人との時間を生きていこうと思うよ。
だから、見守っていてね。
「なあ、霧子。そのネックレスさ」
顔を上げた瞬間に話しかけられ、一瞬何のことかわからなかった。
「お母さんにもらったネックレス」
「ああ。これがどうかした?」
母のネックレスは、今も私の胸についている。