強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
奪ってください
とうとう公邸に連れ戻された私は、軽い軟禁状態に。
テレビも新聞も見せてもらえず、悠がどうしているのかわからないまま、三日が過ぎてしまった。
そんなとき、トントンと部屋のドアをノックされた。
「霧子、父さんだ。入るよ」
入っていいなんて言ってないのに、父は勝手にドアを開けて入ってくる。
どうやら、中からは開かないけど外からは開くような仕掛けにされているらしい。
公務を終えてすぐにここに来たのか、父はスーツのままだった。
前に会った時よりも、疲れた顔をしている。
「お父さん、悠は? 悠はどうしているの?」
すがりつくように聞くと、父は渋い顔をますます渋くさせた。
まるで、顔じゅうのシワが中央に寄ってきているみたい。
「誘拐犯だからな。厳しい罰を与えてもらわなければ」
「そんな! 違うの、お父さん。警察の人に言ったとおり、私は自分の意志で悠についていったの。結婚するのが嫌で、自分で逃げたの!」