強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「お父様が見てるわ」
そう言ってやると、彼の口は止まった。
そして、こちらを見ていた私の父に、引きつった笑顔を浮かべて送る。
私はにこやかに手を振った。
それからも代わる代わる色々な人が来てお祝いをしてくれたけど、誰ひとりとして、私を感動させることはできなかった。
私はただ微笑みを浮かべて、人形のようにそこに座っていただけ。
無意味な時間はただどろどろと、汚れきった川のようにゆっくりと流れていた。
退屈な宴がやっと終わると、私はいち早くその場をあとにした。
「なあ、霧子……」
私の背中を追うようにして、篤志さんが早足で近づいてくる。
あらかじめとっておいた部屋に入ってドアを閉めると、彼はにらむように私を見つめた。
「それほど僕のことが嫌いか?」
「嫌い? とんでもない」