強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「そう。それならいいけど」
篤志さんは安堵したような表情を見せる。
ちょっと出ている尖ったあご、小さな唇、真っ直ぐな眉の下の、まつ毛の濃い瞳。
大丈夫。きっと私は、この人を好きになることができる。できるはず。
退屈で仕方なかった婚約披露パーティーも、いつかいい思い出になるはず。
そうやって一生懸命自分に言い聞かせていると、ふっと視界が暗くなった。
びっくりして見上げると、目の前には篤志さんの胸が。
「戸惑うのは仕方ないよな。でも、僕たちは早めに、もう少しお互いを知る必要がある。そう思わないか?」
「ええ……その通りだと思います」
反射的に後ずさり、距離をとろうとする私の肩を、篤志さんの手が捕らえる。
「今夜はこのまま、二人で夜を明かさないか」
「え……?」
ちなみにここは彼の寝室兼、控室としてとった部屋。
私が寝るための部屋は、別にとってあるのに……。
「お、お話なら、上にあるバーに行きませんか? ここにはお酒も、つまむものも何も……」
「いらないよ。キミさえいればいい」
そんなセリフを吐くと、彼は突然私を抱きしめた。