強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「ひゃあっ」
思わず悲鳴をあげてしまうけど、背中に回された手はゆるまない。
「早く心を開いてくれないか。俺の霧子」
ぐいとあごを持ち上げられる。
顔を背ける間もなく、強引に押し付けられる唇。
すぐに離されたそれは、生ぬるい不快な感触を残していった。
「緊張している? 大丈夫だよ、すべて僕に任せて」
やっと拘束から逃れたと思ったら、彼が私の手を引く。
その視線の先には、綺麗にメイクされたベッドが。
それは……もしかしなくても、そういう意味!?
「ちょっと待ってください。戸惑っていると言ったばかりじゃないですか」
「だから、お互いを知るにはこれが一番早くて確実だろう?」
間違いでも寝てしまえば、情が湧くと? そんなバカな。ここは江戸時代か!
「ごめんなさいっ、今夜は無理です」
「どうして?」
「せ、せ、生理なんです。二日目で、出血がひどいのです。ああ、めまいが……」
「なんてことだ、貧血気味だったのか。それでボーっとしていたんだな。気づかなくて悪かった。部屋で休んだ方がいい」
下手な言い訳。実際に生理が来るのはまだ先だけど、知りあって間もないこの男にわかるわけはない。
彼の手がゆるみ、ホッとする。