強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「当たり前でしょ!最初からなければよかったあなたの命より、総理の立場を固めることの方が重要に決まっているじゃない」
義母が冷たい声で、何の迷いもなく言い切った。
おっとお……普通の人なら言いにくいことを、正妻の立場からハッキリと言いましたね……。
「だいたい、死なないためにSPがいるんでしょ。あんたたちがきっちりこの子を守って、さっさと犯人を捕まえれば済むことなのよ」
義母は立ち上がり、悠と高浜さんをびしっと指さす。
振り返ると、二人は意外に冷静な顔をしていた。
こういった文句には慣れているのかもしれない。
「無理してここに来なくてもいいわ。総理が巻き込まれたら大変だもの。ホテルでも自宅でも、好きな場所にいてちょうだい。あなたたちはどこでもいいのよね?」
話を振られた高浜さんは短くうなずく。
「ええ」
「じゃあ、あとはこの子と勝手に話をつけてちょうだい。総理は明日の準備があるの。これで解散」