強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「ああ、そうだったな……いやすまない。独り身の俺と一緒にしちゃいけなかったな」
「はは。今は彼女がいるんだから、独り身じゃないでしょ」
何かを思い出したような高浜さんのセリフに、悠は苦笑で返した。
ガッカリした気持ちが、ずっしりとした重さを持っていく。
やっぱり、彼女とか奥さんがいるのかな。いや、もしかしたら、単に実家暮らしなのかもしれない。
深読みしちゃいけない、素直に聞けばいいと思うのに、なぜかそれができない。
彼女や奥さんがいるなら、悠の口からそれを聞きたくないような気がする……。
「じゃあ、どっかホテル探そうか?」
悠にそう話しかけられ、ハッと我に返る。
私、いったい何を考えていたんだろう。
「でも、私いつ学校に呼ばれるかわからないし」
何とか返事をすると、バッグの中に手を伸ばす。
話し合いの途中に、学校から連絡が来ていたかも……。