強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「おい大西、いい加減起きろよ」
口をぱくぱくさせていた私の前を新城さんの手が遠慮なく通り、悠の頭を平手で叩いた。
「いてっ……あー、新城さん。はよっす」
「よし、起きたな。じゃあ俺は休憩行くから」
「了解」
寝ぼけた目をこすりながら、敬礼する悠。
どうやら夜通しこの部屋を見張ってくれていたらしい新城さんは、すたすたと早足で部屋を出ていった。
「あの、悠」
「んー?」
「私、昨日のことよく覚えてないんだけど」
恋愛漫画でよくあるよね、『泥酔して目が覚めたら、知らないイケメン、または恋愛対象外だった上司が隣にいた』って状況。
まさか、自分に同じことが起きるとは……。
しかも隣にいるのが担当SPってどうなの。
「えー、本当に?」
立てた膝に肘をつき、手であごを支え、こちらをニヤニヤと悪い笑顔で見つめてくる。
「まさか……何かあったんじゃないでしょうね」
ふと自分の格好を見ると、悠と同じデザインのパジャマを着ていた。
これに着替えた覚えがない……。
青くなっていると、悠がぷっとふきだした。