【短】いちごドロップ
いちごドロップ
部活途中、グラウンドから校舎までは距離があるはずなのに俺はハッキリとお前の姿を見た。
控えめながらも、いつも温かい笑顔で笑ってるような奴なのに今日はどこか悲しそうに見える。
「おい、啓太!ボーッとすんな!ボールそっち行ったぞ!」
チームメイトの叫び声に俺はふと我に帰る。
的確に運ばれて来たサッカーボールを、胸で受け止めるとそのままゴールを目指した。
ゴール直前、俺を止めに来た敵を交わしながら仲間にパスを出す。
それがみるみるうちにゴールに吸い込まれて歓喜の声が湧いた。
「よっしゃ!」
仲間とハイタッチを交わしながら俺はもう一度お前の姿を探す。
ちょうど校舎に入る後ろ姿に俺は呼び止めたくなった。
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