飛べない竜と詩えない妖精
寮に戻るまでの道中お土産にと持たされたお菓子がよほど嬉しかったのか、心春はずっとその話をしている。適当に相槌を打ちながら寮前で別れた。


とくに約束を交わしたわけじゃないが、きっとまた会うだろう。



蓮冬がぽつりと呟く。



「礼、言い忘れた」


手の中にあるお菓子に視線を落とし、それからまた寮に向かって歩きだした。


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