飛べない竜と詩えない妖精
空中都市の中で、最大の学園都市メサイア。都市が浮遊するには大きな力が必要であり、それを支えているのは祈りであるとされているが――真相は謎である。


もう学園の門限はとうに過ぎているため、秘密の通路を使って学園に入る。



寮へと続く道の途中街灯に寄りかかった青年が
、こちらをじっと見ている。見覚えがあるような気がするものの、確信はない。蓮冬が思い出すより先に青年が口を開く。


「遅いよ。門限はとうに過ぎてるだろう、心配したじゃないか」


慣れない言葉。きっと本音ではない。


「悪かった」


蓮冬が一言謝る。一応、上辺だけ。心春も慌てて頭を下げる。それを見ていた青年はふっと笑って。


「僕も悪かった。今日から初めて門限過ぎた生徒の世話を任されてね。まだ不慣れなんだ」



それから青年の誘いでお茶をすることになった。


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