強面勘違い年下男と見た目詐欺なアラフォー女
正直に答えると頭をガシガシ掻いて渋い顔をしている。

『…ごめん、ね』

『…や、いーっす。俺も見てたんで同罪っす』

同罪、なのか。

私は初犯だが、同罪か。

首をさすりながら、あーとかうーとか言う後藤君。

『ええーっと、ほら、男の人の背中って見る機会がなくて。思わず見とれてました』

『…見とれて』

『あ、いや、そのー綺麗な背中だな~って。肩甲骨とかもYシャツの上にクッキリして大きな背中だな~って』

『……』

沈黙するなよぉぉぉぉ何か言ってぇぇぇぇぇ

『…いや、その、カッコ悪ぃとこ見られてなかったかなって』

『いや、別になかったですよ?』

『…ストレッチなんかするんじゃなかった』

『ストレッチ、カッコ悪いですか?』

『じゃなくて……もうちょっと芙未さんに見ててほしかったって事っす』

『っ!!!』

『…間ぁ悪ぃ。……他、なんかありました?』

『あ、え、と…細マッチョじゃないなーって。全体的にガッチリしてるなーって』

『……長谷川さん細マッチョっぽいですもんね』

『…いや黙ろっか、後藤さん』

『後藤君』

『黙ろうか後藤君。ソコで滋さんを引き合いに出さないで。凄くしらけた気持ちになるからさ』

『罪悪感じゃなくて?』

あの叔父に罪悪感を抱いたのはゲームのセーブデータを飛ばした時だけです。

あの時はごめんね滋さん。

『…信じてくれないだろうけど、滋さんとはホントのホントになんでもないんです』

『ふーん、へぇー』

『…あからさまですね』

『はい、信じられないっすからね』

どう言や信じられるの!?
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