I love youを日本語に





ナオくんは昨日、最後まで何も聞かなかった。


どうしてあそこでトシと一緒にいたのか。

なんでわたしが突然泣き出したのか。


何も、聞いてこなかった。


でも、その優しさが余計にわたしを苦しめる。


トシにヤキモチを妬いたわたしにはその優しさが痛かった。


募るナオくんへの後ろめたさ。申し訳なさ。


でもそれは泣いたところで消え去るわけではない。

むしろ、この事実を知ったら泣きたいのはナオくんのほうだ。


わたしは泣いてなどいけない。


胸のズキズキが治まるまで深呼吸を繰り返す。


ふぅ、と最後に大きな深呼吸をして、重い足を前へ前へと動かす。


今日はウソをついてばかりだ。


お母さんにも、

トシにも、

美帆にも、

ナオくんにも、

ウソをついた。


いつからわたしはこんなにもウソつきになってしまったんだろう。








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