I love youを日本語に





「明日、練習終わった後、どこか行こうか。」


ある日の練習終わり。


練習が終わるとすっかり辺りは暗く、

風が肌を突き刺す、そんな季節。


だから手を繋ぐとナオくんの温もりが沁みて、

風が吹く度に握る手の力が少しだけ強くなる。


「ごめんね、明日…練習休むんだ…」


わたしの視線は少し下を向く。



「おばあちゃんのお見舞い?」


「うん、そうなんだ」


さすがナオくん。

わたしの顔を見て、用事が何かを当ててしまうなんて。


「ごめんね、明日記念日なのに。」


「全然いいよ、気にしないで。

いつだって遊びに行けるわけだし。」


明日はわたしたちが付き合い始めて5回目の記念日。

プレゼント交換なんてしないけど、

でも自然と記念日にはどこかでご飯を食べることが恒例になっていた。



「俺のことは気にせず、

おばあちゃんに元気な顔、見せておいで」


「うん、ありがと」


わたしはそう言って力なく、笑った。






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