I love youを日本語に
「どうした、ユウ」
気づくとわたしはカーテンを開けていた。
おばあちゃんのお見舞いに行ったその日の夜。
月がいつもより大きくて明るくて。
いつもなら綺麗、そう思うであろう月が、今日はなんだか不快でならない。
「ねえ、トシ」
トシの机の上には数学の教科書とノートが開かれている。
あ…もうすぐ期末テストだっけ。
「どうして、人って死んじゃうんだろうね」
思い出す、右手で握ったおばあちゃんの手の感覚。
小さいころ、よくおばあちゃんと手を繋いで散歩に行った。
いつも温かくて、柔らかくて。
決して大きくはなかったけど。
だけど、そんなおばあちゃんの手が大好きだった。
なのに。
「どうして…」
今日握ったおばあちゃんの手は、
細くて、冷たくて。
握り返してくれる力が弱々しくて。
わたしが少し強く握ってしまったら壊れてしまうんじゃないかと心配になった。