I love youを日本語に
「ばあちゃんに会いに行ったのか」
トシはわたしの投げかけた質問に答えてはくれず、
逆に質問をしてくる。
ずるい。
「うん。行ってきた。
もう…長くないんだって。」
おばあちゃんは肺癌で、
入退院を繰り返していたけれど、
少し前に癌の転移が見つかって、それから入院している。
覚悟はしていたつもりだった。
会う度にやつれていくおばあちゃんを見ていたら、
高校生のわたしにだって分かる。
でも、どこかで信じていたから。
おばあちゃんはまた元気になって、
一緒に散歩に行ける、って信じていたから。
だから。
「お母さんがね、泣いてたの。
来年を迎えられないかもしれない、って。」
お母さんはいつも明るくて。
笑ってばかりいる人で。
泣いている姿なんて初めて見た。
病院のベンチで泣きながら震えるお母さんの背中をさすることしかできない自分がイヤになった。