I love youを日本語に
「ユウはそうやって弱いくせにいつも我慢しようとする。」
これだから幼なじみはイヤだ。
昔のことをすぐに引っ張り出してくる。
「いつも我慢なんてしてない」
「保育園の運動会の時、かけっこでコケて、痛くて恥ずかしくて、それなのに…」
「やめて。
別に痛くもなかったし、恥ずかしくもなかった。」
ウソだ。
擦りむいた膝が、咄嗟についた手のひらが痛くてたまらなかったし、
みんなが可哀想にと思いながらわたしを見ているようで恥ずかしかった。
「そっか。
でも俺はひとりで最後まで走りきるユウを見て、カッコイイって思ったけどな。」
え?
わたしは思わず顔を上げた。
そうするとトシはとてつもなく優しい瞳でわたしを見ていた。
「それでそのあと、建物の陰でおばさんの胸の中でワンワン泣いてるユウを見て、俺は安心したよ。」
忘れかけていた記憶が甦る。
ゴールして、すぐにお母さんのところに行って。
擦りむいた膝を水道で洗って。
それが痛くて痛くて。
堪えていた涙が一気に溢れた。
そしてお母さんは何も言わずにわたしを抱きしめて、
「よく頑張ったね」
って言ってくれたんだっけ。