I love youを日本語に
部屋へ入ると、カーテンの隙間からトシが見て。
窓を開ける。
うぅ…寒い。
「どうした、ユウ」
トシは窓が開いたことにすぐに気づいた。
「おばさん、うちにいるよ」
「ああ…」
トシはそう言って、わたしから視線を逸らす。
「珍しいよね、おばさんがうちにいるのって。」
「なんか、醤油がなくなったーとか騒いでたから、借りに行ってそのまま話し込んでるんじゃないか?」
「ふーん、そうなんだ」
にしては、なんというか。
空気がそんな感じじゃなかった、というか。
とりあえず違和感を感じたんだ。
何に、かはわたしにもわからないけど。
「ってか寒い。
お風呂入ろーっと」
「はあ?
お前から窓開けといてなんだよ、それ」
「何?もっとわたしと話ししたかったー?」
そうおどけて聞くと、トシは露骨に睨んでくる。
いつもの、やり取りだ。
「じゃ、お風呂行ってくるねー」
そう言って窓の淵に手をかける。
「…ユウ」
「ん?」
そうするとトシに名前を呼ばれて。
「なにー?」
トシはこちらを見ていない。
「あ…いや、ごめん、なんでもない」
「え、なによー」
「いや、なんでもない。」
「あ!わかった!
やっぱりわたしとまだ話したかったんだー!」
「はあ?ばかじゃねーの。
はよ風呂行けよ。風邪ひくぞ」
トシはそう言って、先に窓を閉め、カーテンも閉じられる。
なんだったんだ、今のは。
トシといい、おばさんといい、二人して、違和感。