I love youを日本語に
人は忘れる生き物だ。
だから、この間感じた違和感をわたしは3日も経たないうちに忘れてしまった。
「美帆、最近どう?」
「何が?」
お昼休み。
わたしの席で向かい合ってお弁当を広げる。
「圭祐くんと」
「ん?別に普通」
と、言いながら緩む美帆の口元。
美帆ってこんなに感情を表に出すタイプだったっけ?
「なんかあったじゃん、その顔はー!」
「別になんにもないよ。
何にもないけど、それが、いいの。」
ほんのり頬をピンクに染めて、美帆は言う。
何にもないけど、それがいい。
美帆さん。
それ、なかなかの名言じゃないですか?
何もない。
でもそれだけで幸せだと感じられる、ってことでしょ?
ただ一緒にいられるだけで幸せ、ってことでしょ?
「美帆はすごく圭祐くんのことが好きなんだね」
何気なく、そう言うと
「うん、好き」
と、いつも素直じゃない美帆がとてつもなく素直に言うからわたしは開けた口を閉じるのを忘れてしまった。