I love youを日本語に





「…ただいま」


いつもなら誰かが家にいて。

玄関の鍵は開いていて。


おかえり、とうちの中から聞こえてくるはずなのに。


目の前には暗闇が広がり、誰の声も聞こえてこない。


電気もつけず、階段を上って自分の部屋に入る。



いつものように少し開いたカーテンの隙間から明かりが差し込んでいる。



「どうした、ユウ」


無意識だった。

無意識にわたしはカーテンを開けていた。



「あのね、トシ」


いつもと何も変わらない、トシ。


トシの顔を見たらなぜだか、とてつもなく安心して。

喉元が熱くなる。



「おばあちゃんが…」


それ以上、言葉が出なかった。


とにかく、涙が溢れて、目の前が見えなくなる。

その場にしゃがみ込んで、声をあげて泣いた。


病室では泣くのを我慢できたのに。

冷たくなったおばあちゃんの手を握っても

すぐそこまで溢れそうだった涙をこらえることができたのに。


それなのに…


「ユウ」








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