I love youを日本語に
「おばあちゃんがね」
トシの服をぎゅっと掴む。
「死んじゃった…」
もう息をしていないおばあちゃんを目の前にしても、
もう二度と握り返してはくれないおばあちゃんの手を握っても、
まだわたしはどこかで信じられないでいたんだ。
おばあちゃんの死を。
だからきっと泣くことを我慢できた。
でも、トシの顔を見て、
死を口に出すとその事実から目を逸らすことができなくなった。
トシは何も言わず、ただ黙ってわたしの背中を優しくさすっている。
その手の温もりが、
さっきまで握っていたおばあちゃんの手の冷たさを思い出させて、苦しくなる。
でも、その手の温もりが
『生』を『生きている』ということを感じさせ、
トシの服を握る手に力が入る。