I love youを日本語に





「おはよう、ユウ」


「おはよう、美帆」


正門のところでちょうど美帆と会う。



「なんか怒ってる顔してるね」


さすが美帆。

よくぞ、気づいてくれた。


「トシがインフル、って話したでしょ?」

ああ、と美帆から気の抜けた返事が返ってくる。



「なんかね、今日学校行くらしいんだけど、

先行ってて、って。

しかもトシがそれを言ってきたんじゃなくて、トシのお母さんに言われてね。

で、トシからは何も連絡がないの。」


美帆は何も言わない。

美帆の長い髪のせいで表情も見えない。


「ユウからは連絡したの?」


「インフルって聞いた日にしたよ?

大丈夫?って。

でもね、その返信もないの!!」


ほんとにトシのやつ、何考えてんだろっ。


「ユウからまた連絡してみたら?」


「ヤだよ。

もうわたしから連絡しないもん!」


そう答え、ふと視線を前に向けると、よく知っている横顔を見つけた。

わたしが小さく手を振ると、それに片手をあげて応えるナオくん。



「ん?なに?」


視線を美帆に戻すと、

美帆がじっとわたしを見つめていて。


「いや、なんでもない」

美帆はそのまま上履きに履き替えて、ずんずん先へ進んでいく。


なんだったんだろう…







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