I love youを日本語に





そうして迎えた12月24日。



「あら、ずいぶん早いのね。

なに?デート?」


休みの日はとことん寝るわたしが8時半にはちゃんと服を着てリビングにいるせいでお母さんはそんなことを言う。


「内緒」

そう答えるとお母さんは少しびっくりした顔をした。

内緒、なんて返事はもはや”YES”と同じだもんね。


「じゃあ、行ってきます!」


「ユウ」

用意を終えて、家を出ようとしたわたしをお母さんが呼び止める。


「帰りは、遅いの?」


「うーん、分かんない。

でも夕飯までには帰ってくるよ」


ナオくんにはまだ保育園に通う弟がいて。

クリスマスイヴの夜は家族で過ごすのが決まりらしく、一緒にいられるのは夕方まで。



「そう。早く帰ってらっしゃい」


「…うん、いってきます」


「いってらっしゃい」


お母さんとそんなやり取りをして、家を出る。

少し歩いて振り返った。



トシの部屋の窓を睨んで、

心の中で舌を出す。


トシめ…

全然連絡してこないで何を考えてるんだ、いったい。


トシなんてどうでもいいと思ってるけど、

"一応"心配してるんだから。





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