I love youを日本語に
耐えられそうにない。
これ以上この場にいたら泣いてしまいそうだ。
そうしてこれまでため込んでいた2年半分の気持ちを見境もなくすべてトシにぶつけてしまいそうで。
「帰る」
「え?」
「じゃあね」
わたしは逃げ出した。
目の前にいたのは16年間ほとんど毎日顔を合わせていたよく知ったトシのはずなのに。
それなのに2年半ぶりに会ったトシは別人のようにも思えた。
見た目は大人びて、
昔は言葉数が少なかったはずなのに今日はやけに饒舌で。
それに比べてわたしは…
喉元が熱くなる。
深呼吸を繰り返して溢れ出しそうになるそれをなんとか抑え込む。
ああ、分かった。
簡単な話だ。
わたしだけだったんだ。
この2年半、成長できなかったのはわたしだけで、
トシは大人になって、彼女も作って。
おいて行かれたような気がして、苦しくて。
胸が痛くて、涙が溢れそうで、辛くて。
悲しくて悲しくて、悲しい。
それでわたしは逃げ出すというこれまた幼い行動を取った。
つくづく自分がイヤになる。
「はあ…」
駅のホームで今日何度目からの溜め息をついた。