I love youを日本語に

「なんで16年も一緒にいるのに、分からないのよ」


美帆ちゃんは大きなため息をつく。



「ユウは、自分の気持ちに全然気づいてなかった。

トシくんを好きだって気持ちに全然気づいてなかった。


あの子は鈍感なのか、気付かないフリをしてるのか分からないけど、

トシくんは幼なじみで、恋愛対象って言うよりは家族っていうほうが近くて、

そう思い込んで、自分の気持ちに目を背けてた。


…って、そんなこと、トシくんなら分かってるか。」


また小さく頷く。


「俺の、ユウに対する認識の甘さが今回の結果を招いたんだ」


16年も一緒にいるんだ。

分かってたよ。

でも、気付かないフリをしているだけで、頭の片隅にはあるんじゃないか、って思ってたんだ。


だって、俺の誕生日のときの出来事に嫉妬だってしてたわけだし。


…いや、待てよ。

ユウだ。

相手は、あのユウだ。


アイツ、まさかあのときの出来事…自分の嫉妬だって気付いてないのか？


普通なら気付きそうなものだけど、

あのバカなユウの頭に”嫉妬”なんて文字…思い浮かばない、のか？