I love youを日本語に
翌日。
トシはいつものようにうちへ呼びに来て。
玄関を開ける。
「…おはよ」
昨日の違和感のせいで、いつもより声が小さくなる。
「おせーよ」
でも、トシはいつもと同じだった。
「何ぼーっとしてんだよ。
おいてくぞ」
トシはそう言って自転車にまたがって行ってしまう。
「ちょっと待ってよー!!」
急いで自転車を引っ張り出して、
トシを追いかける。
昨日のあれは、一体なんだったんだろう。
あの、トシを遠く感じた、あの違和感は、なんだったんだろう。
わたしの、思い過ごし?
それならそれでいいんだけどさ。
自転車を漕ぐスピードを一向に緩めるつもりのないトシ。
そう、いつも通り。
やっぱり、わたしの思い過ごしなんだろう。
「トシー!!待ってよー!」
立ち漕ぎで必死に追いかける。
朝のひんやりとした空気が頬をかすめていく。
モヤモヤとした何かが少し、晴れた気がした。