I love youを日本語に
「へえ、美帆ちゃんに好きな人ねえ…」
その日の夜。
いつもと同じ窓越しの会話。
内容は美帆の話。
なぜかニヤニヤしているトシ。
「しかも相手が年上。
うん、いいと思う。
絶対に、うまくいってほしい。」
うんうん、と頷きながら独り言のようにトシは呟いてる。
「ねえ、美帆とそんなに会ったことないよね?」
「え…うん。
たぶん2、3回ってところ?」
「じゃあなんで、ちょっと嬉しそうなの?」
そう聞くとトシははっとした顔をして、
そしていつもの仏頂面に戻る。
「別に嬉しそうな顔なんてしてねーよ。
ただ、いつもユウの面倒を見てくれてる美帆ちゃんにはいっぱい迷惑かけてるだろうし、ちゃんと幸せになってほしいなって思っただけ。」
「何その親心的なやつは」
「ユウみたいな子ども、いらないんだけど」
「そんな話してないじゃん!」
と、まあそこからはいつも通りの口喧嘩。
最終的にトシは
「俺にできることがあったらなんでもするから、
って美帆ちゃんに伝えておいて。」
と言って窓を閉めた。
なんか…トシ、だいぶ美帆に肩入れしてるなあ。
ま、別にいいんだけどさ。