星になれたら
「あたし…ただ、

みんなにステージ立って歌って欲しくて…


なのに…あたし…


もうすぐ…死んぢゃう」




バタン


ケンジが部屋から出てきた。

床にしゃがみこんでいる僕らを鋭い目で見下ろす。


「亜矢、誰が帰っていいっつった?」

低い声でケンジが言う。

「ヨースケ、飼い主は俺だ!」


「てめえ…」

僕は怒りに震えて立ち上がる。


「亜矢、早くベッドに戻れよ!」


亜矢は泣きはらした目で呆然とどこかを見つめている。



「このやろ…」

掴みかかろうとした僕を亜矢が右足に抱きついて止める。



「ケンジ…もう、今日は一回したでしょ?」

「二回までって約束だろ?」


「…」


「ほら、立てよ!!」

ケンジは強引に亜矢の手を引っ張って部屋に入れる。



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