星になれたら
「ず~っと、手ぇ握ってたのよ?

こんなふうに、ギュ~って」


看護婦さんが何を血迷ったのか僕の手をめちゃくちゃ力を入れて握る。



「あの子にね、何があったの?って聞いたのよ。あの子もほっぺにケガしてたし



そしたらね、


あたしのせいなんですって…



…何があったの??」




「…あ、あの、やっぱり…やってもらえますかね?」



「え?」



「…身体、拭いてください…」




僕は泣きそうで、


泣いてしまいそうで、



看護婦さんの痛すぎる処置を受けていれば、泣いても不自然に見えないと思ったから、



僕はガマンして、


おばちゃんに

身体を拭かれる…




(ねえ、亜矢…




きっと亜矢になら


こんな痛い思いさせられても、イラつかないと思うんだ。



僕は何の苦労もしてない普通の高校生だから、



…だからダメなのかな?




亜矢のこと分かってあげられるんなら

僕は、


普通なんてやめる。



どうしたらいい?)




僕はおばちゃんナースに亜矢を無理矢理かぶせ、いけない想像をふくらましながら切なくて泣いてしまった。



亜矢に



会いたい。





< 134 / 153 >

この作品をシェア

pagetop