星になれたら
僕はドアの隅から顔を覗かせる。


「亜矢、歌えば?」

アツシがドラムを叩きながら大声で亜矢を呼ぶ。


亜矢はずっと、机に向かってギター片手に曲をかいている。





「ダメだぁ-…」


亜矢が絶望的な表情でアツシを見る。


「暗い歌しか出てこない!…お葬式みたいな」




「亜矢、失恋したばっかなんだからしょうがねぇぞ!」


アツシが笑う。


「うるさいっ!」


亜矢がふくれて机につっ伏す。



「泣かすなよ、アツシ!」

夏樹が呆れて言う。
見かねたジュンがステージから降りて亜矢の方へいく。

「無神経だなぁ…


亜矢さん、…無理しないでください。」




「…亜矢さん、縛ってください!」

アツシがジュンのマネをして言う。


「何だと!!このやろぉぉ!!!」


「やんのか?クソガキ!!」



「うるさ-い!!!



歌おっ!!!



今度ケンカしたら二人とも縛って吊るすからね☆」



亜矢がニッと笑う。


それは無理矢理の笑顔だった。




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