星になれたら



圧倒的な歌声。


高く澄んで、まっすぐに響く



初めて歌声を聞いたとき、本気で天使なんだと思った。



それは今でも、変わらないつもり…




ケンジも僕の隣にしゃがみ込み、聞きいっている。


(ああ…この人も、亜矢が好きなんだなぁ)
亜矢を見つめる目を見て、漠然とそう思った。




「お前さ…」

ケンジがポツリとつぶやいた。


「亜矢、やっぱりお前が好きみたいだ…」


「…」


「最近、だいぶ調子悪いらしい…」


「誰のせいだよ…」

僕がボソッと責めると、ケンジは別人のように小さくなって震えた。


「怖いんだ…亜矢は、きっと俺のこと



すんげぇ恨みながら死んでくんだなって…」



パシンッ!


ガタンッ



僕の平手打ちでケンジが壁に思いきりぶつかっていった。


「死ぬって…決めつけてんじゃねえ!!」




僕の怒鳴り声と、ケンジが倒れた音で楽器も、亜矢の歌声もピタリと止まった。




みんなの視線を感じる。




亜矢も、大きな目を見開いてこっちを見ていた。





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