星になれたら
「…ここに来ちゃダメ」
亜矢が弱々しくつぶやく。
「もう…あたしなんかといっしょにいないほうがいい」
僕は無言でステージに上がって、亜矢の隣に座った。
「…病院、…病院は?」
「…」
「…」
「…」
「…怒ってる、よね?」
亜矢はうつむく。
「怒ってるよ!
勝手に、いなくなってさ…」
僕はギュッと亜矢を抱きしめる。
「おかげでおばちゃんナースにセクハラされたんだから!」
亜矢は僕の腕の中で震えている。
「ごめんね…痛かったでしょ?」
亜矢はそう言って肋骨のギプスを指でそっとなぞる。
「あたしと会ってから、殴られてばっか…」
「そうだっけ?」
「それに…欲求不満」
「あはは、なんだよそれ!」
「一夏の恋、する人間違えたんだよ…」
「…間違ってないよ」
「こんな女じゃ童貞捨てれないし…」
僕は亜矢のほっぺをつまんでひっぱる。
「ひゃやく、ほーへーふへたほうは…」
(早く童貞捨てたほうが…)
「まだ言うか!」
僕はゲラゲラ笑う。
亜矢も少しだけつられて笑った。