星になれたら
「ミドリさん、じゃあ,またね-♪」
と言いながら、亜矢は思いっきり僕の手を引っ張ってズンズン進んでいく。
「ちょっ、亜矢ぁ?」
だいぶ進んだところで亜矢は引っ張っていた手の力を緩めた。
「亜矢?そんな急がなくても…」
僕は怒ってるみたいな表情の亜矢を覗き込んで言う。
「…亜矢ぁ?」
「…ニヤニヤしちゃってさ、バカみたい!」
―何なに?亜矢チャン,ヤキモチやいてるの?
僕はニヤニヤしそうになるのを必死でこらえる。
「ミドリさん、あのアパートに住んでるし…ヨースケもあたしの部屋に住むから、ちょくちょく会うかもしれないし…」
独り言のように呟きながら一人で暗くなる亜矢。
「…ふふふ」
僕は堪えきれずにニヤニヤ。
「きもい-!」
と言って、僕の脛を蹴ってくる亜矢。
「亜矢、可愛いっ!!」
「は?」
「可愛い!…ほっんと、可愛い!!」
「なんなのよ,わざとらし-…」
まだ膨れている亜矢の手を今度は僕が引っ張る。
「ほら、行こっ♪」
夏の日差しを受けて、長くのびた二人の影。
亜矢の手を離さないようにギュッと握りしめて、僕はゆっくりと歩き出した。