星になれたら
亜矢の呼吸がおさまったのを見て、アツシさんが亜矢をおぶった。

「平気か?」


肩ごしに優しく尋ねるアツシさんは柄にもなく不安げだった。


亜矢はにやっと、しかしいつもよりは少し弱々しく笑った。



「俺ら、亜矢さん送ってくから…ヨースケもう帰れよ!」
ジュンが僕に冷たく言った。


亜矢の視線がゆっくりと僕にうつる。


「また…

また歌、聴きにいくよ!」

僕は言った。


「また、聴かせて…」




亜矢は幸せそうな笑顔でうなずく。



僕は小さくなっていく四人の姿をいつまでも見ていた。




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