俺に溺れとけよ
「おかしいよね。私紡のこと好きだったはずなのに…」

「…健くんのことはいつ頃から?」

「わかんない…でもしいて言うならあいつが変なこと言ってからなの」


変なこと?





「あいつが…「凪には俺がいるよ」とか「俺は一生お前を見てる」とか言って…」

「か、かっこいいっっ!」


布団の上でキャーキャーと叫んでしまう。

普段無口な健くんがそんな事言うなんて……想像できないけどめちゃくちゃときめいちゃう。





「そこから妙に意識しちゃって…最近はあいつがずっと頭から離れなくて」

「まだ付き合ってないの?」

「うん…そういうのってどうしたらいいの?私から言ったら変?」


恋愛経験が少ない私にとって、この質問は全く返す言葉が思いつかない。

だけど頭で必死に考えてみた。





「全然変じゃないよ。…え、でも…ということは凪は健くんと付き合いってこと?」


そう言うと凪がボッと顔を赤くして布団に潜った。

凪をかわいいと思いつつも、その気持ちがすごく共感出来て私もつられて布団の中へ入り込む。



凪のこんな顔が見られたこと…

健くんの恋が実ったことも嬉しい…


今日はいい日過ぎて眠れそうにないよ…











「あ…」


翌日の夜。年越しそばを食べて12時が近づき外に出ると、私が以前プレゼントしたマフラーと手袋をした紡が立っていた。






「ちょうど今来た所」

「神社反対方向なのに来てもらっちゃってごめんね」

「こんな夜遅くにひとりでうろうろさせるわけにいかねえよ」
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