俺に溺れとけよ
「ふーん…わかった」

「あ、待って!」


私に背を向けて先に歩いて行こうとする紡の手を引く。

何となくこのままにしたらまずい気がした。





「ごめん…怒ってる?」


ここはどちらにしても否定するべきだった…

今の私の態度で陸に片思いしてたことバレたと思うし…





「別に。ただずっと半信半疑だったけど…事実だってわかってちょっと面白くないと思ってるだけ」

「う…」


怖い…

怒ってないって言ってるけど怒ってるよねこれ…


その後はあんまり会話が弾むことなく紡とは別れ、

寝る直前までいつもLINEのやり取りをしているのに今日はなかった。


最悪な気持ちのまま翌日いつものように学校に向かうと、紡はいつも通りで特に変わりはなかった…

だけど…






「やっぱりあいつタイムがイマイチだな…」


その日は今年初めてのプール開で、放課後の部活は学校のプールで行われた。

入部したての後輩にタイムを計ってもらってる紡を見て、健くんが顔をしかめる。
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