俺に溺れとけよ
バスタオルを畳みながらぼんやりとしていると、健は私の顔を覗き込んでくる。




「何かあったの?」

「え、いや…まあちょっとね」


さすがに昨日の内容は言えないなぁ。





「凪が聞けってうるさくてさ。あの2人絶対何かあったって言ってて」

「え…凪が?」


嘘…私達そんなふうに見えるのかな?




「「私が聞くと気にするだろうから」俺が聞けって」

「そんな事ないのに…」


いつも周りのこと気にかけてくれるんだな…凪って本当にすごい。





「紡は私にもあんまり自分の事言わないから…何考えてるかわかんないんだ」


昨日は陸のこと聞かれたから…珍しい事なんだろうけど…

私があんな態度取っちゃし、あの後普通にしてるつもりでも今何考えてるかわからない。

急に謝るのも変だし、あんまりこっちが気にしてる素振り見せると怒りそうだしな…

どうしたらいいの?





「紡は務(つとむ)兄になら話すんだろうな…」

「務?」

「紡の兄ちゃんだよ」


お兄さん?



「今大学生で東京の大学行ってて東京暮し。たまにこっちに帰って来るよ」

「そうなんだ」


お兄さんの存在は知ってたけど、そこまでは聞いてなかったな…
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